残像

中学の時にみてたコイン
その反対側にあったのが今の僕
 

コップの下に滲んじゃってるミルクティー
拭くのもめんどくさいや
カランコロンと鳴るオモチャ
 

中学の時にみてたコイン
裏側にうつってたのが今のぼく
 

そこに滲んじゃってるのが今のぼく
 

 
 

 
そのコインはたとえば酒場の床板に落ちていたこともあった
 

線路の傍の茂みに、濡れた雑誌と一緒に隠れていたこともあった
 

学校帰り、ぼんやりと俺はそれを拾った
そこには何も映っていなかった
俺はそれからそれをポケットの中に入れて
コンビニで新発売のグミをひったくって帰った
 

風を吸収してコンクリートが浮かび上がってる
目には見えない音がみえる
 

アイツのばあちゃんは、先月血を吐いて入院したという
 

あのころの俺には今の俺がみえてる
立て掛けたバット、ころんとゆれる