2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

モチーフへと

ぶかぶかとしたグレープフルーツの香り髪は長く毛の先の湿りまでうっとりとその鼻先の色と視界を包む匂いをまぜあわせてそのままふたつの眼を瞑りさながら子どもの興じるテトリスのように走る列車の音に横切る木々と意識を溶け込ませ 時に足音、新聞の掠れる…

嫌だ!

俺は漫画なんて描きたくない、ペンなんて持ちたくないその絶体絶命の世界で剣を取って、勇者そのものになりたかった俺は音楽なんて創りたくないそのメロディに、その楽譜から香る陶酔そのものになって皆んなを癒したかった歴史家より歴史の一ページに、監督…

パレット

俺は何度も振り返り、何度も書き直したパレットは色がごちゃごちゃで何がなんだか分からないこの狭い部屋にたった一つの窓から黒い鳥が風に流されるのが見える人はそれを見て、空に居られるのが羨ましいとか言ったり 俺は想像の上で何度も書き上げた時にはそ…

海岸

俺の部屋には壊れて動かなくなった自転車があるそれはいつ見ても他人行儀にただそこにあるペダルを触るとひんやりと冷たくてそれをただぼんやりと手でまわしていると 家族と行ったあの熱海の生暖かい風や細かい粒子の砂粒まで思い起こさせてくれる一生懸命作…

テレビ

部屋が薄暗くなるほどの情念がまばたきの隙間にもみえる悲しい不幸体が重たくてでも意識は鮮明で だからよく冷えたこのコップが肌に沁みる窓から見えた電線は雨で濡れてるテレビでは狂気含んだ大歓声 テレビを観てる家族はすこし欠伸をして街路樹、溝で眠る…

コイン

冬の香りが頬に滲む中学の時にみてたコインその反対側にあったのが今の僕 コップの下に滲んじゃってるミルクティー拭くのもめんどくさいやカランコロンと鳴るオモチャ 中学の時にみてたコイン裏側でひかっていたのが今のぼくそこで滲んじゃってるのが今のぼく

風たばこ

風の吹く草原でたばこを吸った 綺麗な煙が空を真っ青に染め上げて僕はまた見て見ないふりをする 風にそよぐ自転車とススキ顔をしかめてうんざりさ近くの川では観光客のこどもが飲み込まれた 近所ではうわさばなしあちらこちらで電線がひかってるぼくはポケッ…