老いた月

老いた月が颯爽な曲がり角の車に映る
こりゃいいや 
なんだか街灯の闇が優しいね
街全体がマフィアの巣食う根城みたいでカッコいいや
白い霊が壁にはうつる
いつも僕の心にはゴージャスな明かりがあって
それが熱くて仕方がないんだ


店から苛立って飛び出した娼婦、車のキーで店裏の壁に傷を付けた
夜の明かりはそこから流れでていたよ
誰にも平等な夜だから
水溜りには通り過ぎた車の跡、赤く映ってる
素晴らしい月が平凡な草をもソーダ水のように照らしてる
ああ今ぼくの胸の奥にある、心の黒板にラグビーボールをぶっつけたい
街の路傍には小さな青い花が傘に隠れてそよいでる


午後の辺鄙な夢のなか、
熱いフライパンさわれない
真理が上でもたげているよ
それはちりちりと蒼く弱々しい鳥になり
窓にぶつかりながらもあの大空へと飛んでった
 
月を脱脂綿に含ませて、僕は口に空をあてがった