テールランプ

ガラスが張り巡らされた中で向日葵は
暑苦しいような 居心地が悪いような
見られてるような すこし動いたような
気不味そうな表情を ガラスに浮かべて
風がガラスに映って 隅のごみ箱はもの静か


向日葵とこの丘の風は知っている
自殺とは自分を滲ませることだ
ほんの少し世界に近付けることだ
バケツに砂が沈殿していくのを
いつもただずっと見ている
                       銀色の鳩時計の下               男はバットを振り回し騒ぐ
昼のハズレくじ                ひらひらポケットから覗いてる


そうさ理想と現実は溶け合い
それなりでもない何かが垂れ流れていく
響き渡るでもないそのメロディは
近所の犬や屋根や綿毛なんかと一緒に
ただのいつもの町の一つとなっていく
 
通行人は何処かよそよそしい 
夜の街灯は何にもない
冷たいコンクリート照らして
腑抜けたコーラの瓶 
おんぼろ駄菓子屋の棚でじっと待つ


だがここには何処か
芯を食ったものがない
帰りの電車で見る電柱の寂しさ
今だってあの向日葵が見たい


僕はこんな日にも
一生懸命掻き混ぜてる
その沈んでいく砂を逃すまいと
ただ混ぜ続ける


熟れすぎた果物のように
心は秘め事してる
この世界の終わりにだって 
僕はこうして前に前に
倒れてゆくだけ


太陽が 昼の狂騒と共に去るように
この季節は 丸ごと僕から持ってった