色ちがい

彼氏のブレーキは裾を破っているよ  
サイレンは脳に杭のように刺さって
じわりと沁みるよ
脳に刺さるよ光りのよう
帰りの車道は敵さ 悩みを癒さない 
経験は外れた宝クジのよう 意味を成さない


理想を持てば打ちのめされる
少しの違いに敏感になる
でもこれが無ければ
生きても暗澹たる黒い影が
食事中だって目に付くだけ
あの頃あんなに欲しかった名声も
今は分かる
セピア色の地獄と手錠に繋がれた天国
どちらも皆んな笑ってる


沈むときに文学に掻き混ぜられる
映画に跳ねられる絵画に音楽に 
他人の不幸に誰かの墓に 
そしてまた担ぎ高く登らされ
いずれはそれにも疲れて
何もない虚無が
じわりじわり迫ってくる 
感覚も無くただじわりと
虚無に足を掴まれる


偉人の体臭歯並び 美人の失態
熱で脳が溶けるように
夢で俺の人生が溶けてゆく