透明な森

これもダメ あれもダメ
世界は眩しい水藻と灰色
手のうえで微かに
兵隊のオモチャが
落ちてしまわないように
 
嬉しい感情
穿ってみれば邪な感情
レモネードのように 
草っ原に作業車と


世界は透明な森々にかこまれて
近所のおばさんまるで水槽のなか
風の鳴る買い物袋をぶら下げて
こいつの顔はいつみても 
小さく震えて
鳥の感傷で醜く歪んでる


愛と憎悪をステレオにのせて
たび重なるチラシに無言電話
公園に打ち捨てられた自転車は
パンクして傾き気が抜けてる


風も吹かない路地に連れ込んで 
執拗く乱暴したあの夜
涙に濡れた星の光りがすこしだけ
この年増女を神聖なペンダントにした