2019-09-21 海岸 俺の部屋には壊れて動かなくなった自転車があるそれはいつ見ても他人行儀にただそこにあるペダルを触るとひんやりと冷たくてそれをただぼんやりと手でまわしていると 家族と行ったあの熱海の生暖かい風や細かい粒子の砂粒まで思い起こさせてくれる一生懸命作った砂の城も自然と這い回る蟹も風と波によってあの日等しく連れ去られた 水の音聴いてったって 頭ん中はあの女のことばかり俺は砂の城を蹴っ飛ばし誰も気づかず水に流れた俺は砂辺を蹴っ飛ばし誰も気づかず風に流れた