to Benzi

私が歩いたとき、外は街だった
そこには美しいものはなにもなかった
ただただ密集する蝉たちが、不要になった言葉どもを塗りつぶしていた


私は怖ろしかった、宿題のないのが
私が夢にまでみたテニスコートでは黄色いボールが優しげに跳ねていた
私はそこにいる人たちに知らないふりをした


なにもかもうしなったら、もう一度そこで会える気がする
くり返しの罵声も、透明なビンを透きとおって流れる驕慢なねずみも、僕たちにサヨナラを告げる


知りたいのなら触るしかない
知りたいのなら触れるしか
自分と肌でそっとかぞえるしかないんだ...