退屈な海岸

私がその幻覚の粒子の海を泳いだ時、頭の上では紫とオレンジに淀んだ空がすぐ側まで垂れ下がっていた
気をつけて呼吸をしてみれば、そこでは快活な天使がチクチクと羽で可愛い悪戯をした


その香り豊かな海は、燦々と光を入れながら、私の汚れた体に追いすがるように纏わりつき、幻覚のベールで包もうとする
私が生まれた時に包まれたあのお淑やかな空気は私の側を離れて、あの置き去りの漂流の島の淵で、臭気を持った海と揺られている


私の生は言ってみれば、売れない劇団員たちによる最初の大袈裟なリハーサルであった
その後の緩やかにも、淡く美しく飾られた弟の生のための、苛烈な実験であった
この追いすがる生のために、私の日々は台無しにされてしまった
一切がひらいたポケットのなかのお菓子の包み紙となってしまった


私はあの濃く濃く厚塗りされた、あのむせるほどの色彩の命の海にいつか続く事を、あかるい画面へ夢中の神に祈った
私は疫病犬のように、牢獄から小さなその光輝く空に、深い穴の淵から、このボンクラの神との街での再会を祈ったのだ