唾液、ビー玉を口から出すと、

ビー玉を口から出すと、それはあの日見た魚網にもたれる水晶のようにきらきらと輝いて
赤く、青い換気扇や草っ原、多色ステンドグラスと混じりながら、ひかってた
あいつが射精したときもこんなだったか?
空にはぼくらの見えない高さに鷲がいて、ぼくらには見えない深さにも土はある
シロサイが物憂げに踏み締め、雨と抱いたあのつちだ


そんな事を思い出させてくれる景色が独りぼっちの窓には時々ある

呼応した光りは何処までも窓に当たってはじけ飛ぶ


この路上もそんな小さな光りがあつまって、できているんだよ
苦しいときにも息絶えそうな動物たちが火に追われた碧い森を走り去ってく
最後の晩餐撒き散らして、眼は濁ったまま涎であの日を汚しながら


朝の光りに揺られながらビー玉を空にかざすと、飛行機雲はあの世からのメッセージみたいに、僕の視界をあれこれ奇妙な踊りで邪魔をした