2018-12-08から1日間の記事一覧

追憶

青春をはき違えた貴方へ もう無かったことにしようよあの体育館、木製の屑かごのこともそれからどうにか跳ぼうと頑張ったあの時も 大して美味くもない晩御飯を食べながら、考えたはずだよこういうのって、電球が照らす意味って、あんのかってこの街に雨が降…

のぞき穴

顕微鏡が覗いた宇宙 何も見当たらない顕微鏡が覗いた宇宙 アスファルトの匂い森で覗いた地球 自分しかいない森で覗いた地球 麻色の縞模様 舟はひたりと浮かぶ黒い雨は降りしきり隠れ蓑から覗かれる白い浜の貝とめて音色が視覚をかたちが匂いを 宿の灯りに こ…

雲の詩(うた)

雲は電線にぶつかって引きちぎられてしまったあっちの雲は老父に雨を落としていたけれど握っていた缶コーヒーはとっくの昔にぬるくなってしまってトラックに積んであった材木、梯子、肥料そのどれもが車につられて揺られて道行く人は気にもとめず こうしてる…

桜の樹

桜が海に生えましてそれはしづかな夜のことうるさい夜の海のこと樹皮を磨いてさらばえます いずれ花が咲くでしょう花びらしづかに落ちるでしょう海は気づかず、はこぶでしょうこれはしづかな夜のこと わたしは練炭だらけの部屋に居りましてしづかにぽつんと…