雲の詩(うた)

雲は電線にぶつかって引きちぎられてしまった
あっちの雲は老父に雨を落としていたけれど
握っていた缶コーヒーはとっくの昔にぬるくなってしまって
トラックに積んであった材木、梯子、肥料
そのどれもが車につられて揺られて
道行く人は気にもとめず


こうしてる間にもリリックは振動している
そのトラックを引っくり返さんばかりに音は大きくなり、老父の胸にも一片のぬくもり


角のタバコ屋はとっくの昔につぶれてしまって、いまは浮浪者たちのいい溜まり場
野良猫たちも呆れ果てる


誰かが花火を投げ込んで
そうして誰も居なくなった