雄鳥

倦怠は化学表に載らない気体である
いつも気づけば臓器に充満し
希望を喰まんとする口を拒絶する
それでいてある時は自分の肉体の外部に
部屋の隅にさながら忘れられた
毛糸玉のように転がっている


その穂先はいつ見ても何処かべったり湿っぽく
赤と青の斑点が散らばる毛虫のように蠢いて
どうしようもないほどに喉と臓器の管を
細く冷たい針金が縛り付ける


そんなとき微かな明かりで覗き見る自分の手先は、舞い上がった羽のように曖昧で
息を吐けどそれは絡まって、
 
空に紛れた気体のよう
決して自分のなかから無くならない