くるしいのなら死体を吐け

くるしいのなら死体を吐け
おまえのうちには
いるはずだ
幾人もの死体
おまえが殺した者たち、もしくはかばいきれなかった者たちの死体
くるしいのならそれを吐け
そうして白い屋根の下で口をゆすぎ
からっぽになった胃をみつめるとき
やるせない朝は過ぎる


知った顔したベンチ
遠くの声ですら五月蝿い
樹の葉っぱが多過ぎる
胸のうちモヤモヤと息苦しい
それは死体だ
数え切れない死体がお前の気管を通して息を塞ぐ
命が途切れるのを待ちわびているのだ


ガランとした商店街に眠る
横になる
胃が伸縮して
楕円が転がり音立てる