バケツ

誰かがバケツをひっくり返して
また夜空に星がぶちまけられた


きみは書類の整理
夢中になる相手をまちがえないかい
そんなの誰が言ったって
きみの心をざわつかせるだけだから


いくらページ捲ってもほしい言葉がないんだ
誰かが何処かに持ち去ったことば
今頃どこかの国で屋台の看板にでも
なってるのだろうか


鶏の鳴くころ
ぼくらまだベッドにいた
なにかをする気になんて
なれなくて
それでいて先の事ばかり
気にしてた


星の数はみんなが祈って
届かなかった溜め息の数
悲観的なことばかり詩で述べて
ほんとは前向きに生きる術
さがしてた


あのころの砂山のなかにわすれて
それでも遊具の手すりに
それをつかむ力だけで
渡っていけると思ってた