ふれあう

彼女は一瞬で思い出になった
手が届かないから
すれ違ったその瞬間に
記憶は焼けて消化不良
使いものにならなくなった
その圧巻の美しさと洗練に
ぼくは惨めな虫になった
飛び立つことすら
ばれそうで
届くまえに払い落されてしまいそうで
部外者に生まれ付いてしまってる
感謝の心すら風のなかの鳥になってしまった
生きるんだったらもう少し
身幅を城のように与えて貰え
海の近くの城のように
それであれば彼女のなぞるその壁も
生き永らえたまんま長く感じることだろう