バレエのあの子に

俺は彼女が好きだった
その笑顔
しなやかな品のよい振舞い
哀しみを滲ませた無垢な明るさ
都合のわるい過去
ともにもち帰りたいとおもった
こんなにちがうんだから
信頼し合うのはむりだろう
でもただ一緒にいたかった
気にいらない思想と感覚、眼
それでも抱きしめてみたかった
その肉付きのいい肌に
唇を押し当ててみたかった
愛のことばを吹き掛けてみたかった
しずかに震えるきみの肌は
荘厳な宇宙のように圧巻だけど
誰かといまを過ごすなら
それもわるくないと言えるだろう