慰み

たとえば幼き頃
君が公園で駆け回り
遊具のまわりを駆け回り
錆びた柱にぶつけて
欠けてしまった
ひとつの歯


その歯の替わりに私が
自分の歯をひとつ分け与え
それを君に移植して
その事も忘れて
そのまま成長しているのだったら


どれ程の余裕をもって
今の君を眺めて居られるだろう
君が仮に目の届かないところまで
飛び去って行ってしまったとしても
どれほど心に安住を抱えて居られるだろう


それは私がこの世界で
すこしでも楽に生きる為の
ひとつの縁(よすが)なのだ


頭のなかで回る遊具は
今や止めるひともいない
空や光を反射して
まわり続ける