暗いメルヘン

恋しい猫がその冷たいコンクリートの上で、今はなき街路のアホウな商店に想いを馳せていた。


線路下の銀の遊具では、夕暮れを忘れてすこしずつあかるくなって行くらしい。


自分の手がすこしずつ汚く浄化されて、空と鉄を繋ぎ止めた。暗いメルヘン、ボールの小さな地響きが、ひとつの音楽の祭壇を慰めて、機械仕掛けの如く移動した。


恥ずかしがりや、きいろの梟がでっちあげの呼吸の仕方を忘れるころに。
森が冷たく間抜けヅラで眠り、厚揚げのタンゴ、死に神音楽を忘れるころに。